卓越したドライビングフィールで、走る楽しさをアピール。
セドリック&グロリア。日産伝統の車名を捨てて、新たに高級車の伝統を作るべく登場した「フーガ」。おりしも、フーガと同じクラスのライバルとなるレジェンドから、1週間遅れの発表となった。
「高級車のパフォーマンスをシフトする」。そんなテーマのもと、スタイルと走りのクオリティを磨き上げ、上質なスポーティセダンとしてフーガは誕生した。
フーガのデザインには、今までのセドリック&グロリアの面影はほとんどない。ショルダーラインの面変化や、カタマリ感のあるスタイリングは高級車らしエレガントさをアピールする。最大のアイキャッチとなるは、クリスタルブループロジェクターキセノンヘッドランプ。ウインカー、ハイビーム用ランプ、キセノンランプと三つの丸いライトが組み合わされていて、ヘッドライトを点灯させると光の陰影が絶妙な雰囲気を醸し出す。フーガらしい、もっとも豊かな表情を見せる瞬間だ。
フーガ350GTスポーツパッケージ車の足まわりには、国産量産車としては初となる19インチのタイヤ&ホイールを装備。なんと、タイヤサイズは245/40R19とロープロファイル化。当然、スポーツパッケージ専用サスペンションや後輪を走行状況に合わせステアさせるリヤアクティブステアを装備。19インチタイヤのパフォーマンスをいかんなく発揮できる装備が施されている。
フーガの走りの基本となるプラットフォームは、基本的にスカイラインやフェアレディZと同じモノを使用。フーガは、このプラットフォームをベースに、さらに改良。高剛性のボディと、ボンネットやドアパネル、トランクリッドをアルミ化し軽量化するなどにより、高い走行性能を実現したという。
GTシリーズの陰に隠れて、目立たない存在になりがちだが、よりラグジュアリー性を高めたXVシリーズも存在する。バンパーやグリル、テールランプなどさり気なく変更されている。最上級グレードのVIPというグレード名だけが、セドリック&グロリア時代から引き継がれた。
フーガのエンジンは3.5リッターV6が280馬力&37.0kg-mをアウトプット。280馬力自主規制廃止後のクルマだが、とりあえず280馬力のままで登場。実際のパフォーマンスは、それ以上であると推測できる。2.5リッターV6は、210馬力&27.0kg-mを発揮。3.5リッター車のみに4WD車の設定がある。
インテリアは重厚感ある仕上がりフーガ。幅広のコンソールが特徴。立体的でゆったり感のある造形は、まるで高級家具に囲まれたオフィスをイメージさせる。カラーコーディネーションは、タンカラーやブラックなど全5タイプが用意され、好みのタイプが選べるのもフーガの魅力。居住空間としては、1880mmというクラストップレベルのスペースを確保。高級車らしい、ゆとりあるスペースを提供してくれる。
メカニズム的には、ホンダのレジェンドと比べ、とくに目新しい新技術は装備されてはいないフーガ。目先の技術で高級感を演出するのではなく、クルマがもつ本来の走りや空間で高級車らしさをアピールする手法をとったフーガ。爆発的な人気を誇ったクラウン、そして発売がほぼ同時、そして北米でもライバルとなるレジェンド。高級セダン戦争のなかで、フーガはどう評価されていくのか楽しみだ。