まずはS350と500が日本導入。V12エンジン搭載のS600は遅れて導入予定。
フランクフルトショーの取材の後に設定されたヨーロッパでの現地試乗は、イタリアのミラノからアルプスを越えてスイスのサンモリッツまでの270kmを半日ほどで駆け抜けるもの。高速道路からワインディング、市街地までさまざまなシーンが用意されていたが、こうした長距離ドライブはSクラスにふさわしいものといえる。
試乗したのは搭載エンジンが新しくなったS350、S500、S500Lの3モデル。V型12気筒エンジンを搭載するS600はヨーロッパでも遅れて発売され、日本への導入も来年になる予定だ。
S350の搭載のV型6気筒3.5LのDOHCエンジンは200kW/350N・mのパワー&トルクを発生する。3.8LのSOHCエンジンを搭載した従来のS350と比べても大幅な性能向上が図られている。7速ATの7Gトロニックとの組み合わせによって、滑らかで力強い走りを見せる。発進から高速域に至るまで、少ないショックで気持ち良く加速していくのだ。新型Sクラスの重量はかなり重いが、重さを感じさせない走りである。
S500は標準とロングの両方に試乗した。こちらも新開発のV型8気筒5.5Lエンジンで、やはりDOHC方式を採用する。動力性能は285kW/530N・mに達しており、豪快な加速フィールを味わわせてくれる。直線的な吹き上がりとそれに伴うパワーの盛り上がりは、並みの高級車とは異なる実力である。
S350、S500とも電子制御のAIRマテックサスペンションが採用されていた。ドライバーの好みに応じて調整が可能で、乗り心地と安定性を高次元で両立させるものだが、実際に走らせた印象ではSモードでの走りがバランスに優れたものだった。コーナーでのロールを抑えた走りに加え、荒れた路面をうまくいなしてくれるので、乗り心地にも優れている。市街地などではCモードの快適性も魅力だが、Sモードのままでずっと走っても良い。
●まとめ
ラグジュアリーカーのジャンルも最近は、BMW7シリーズ、アウディA8、ジャガーXJ、キャディラックSTSなど、さまざまなモデルが競合するようになってきた。少量販売車種を加えれば、さらにいろいろな車種がラインナップされている。
そんなラグジュアリーカーの中でも圧倒的な存在感を示すのがメルセデス・ベンツSクラスだ。これは今回で8代目当たるという長い歴史を持つととともに、その間に世界中の自動車ユーザーから高い信用を得るだけのクルマ作りを続けてきたことによる。
日本で10月4日に発表されるが、取り敢えずS350を選べばSクラスの良さは存分に味わうことができる。もちろん、お金に余裕があるならS500や来年発売予定のS600選べば良い。