搭載されるV型6気筒3.3Lエンジンは172kW/304N・mのパワー&トルク。このクラスの日本車ではさらにパワフルなエンジンを搭載したモデルも多いので、特に際立った性能とは言えないが、大柄なボディに対して十分な余裕のある性能。アクセルを踏み込めば6500回転からのレッドゾーンまで一気に吹き上がっていくし、回転の上昇に合わせたパワーの盛り上がりも十分なレベルにある。
組み合わされる電子制御5速ATは、マニュアルモードの選択も可能なシフトロニックで、シフトレバーを前後に動かすことによってスポーティな走りが楽しめる。5速ギアでは時速100kmでの回転数が2000回転程度に抑えられるので、静かな高速クルージングが楽しめる。ただ、ロードノイズは3L級の高級車として考えるとちょっと大きめ。路面にもよるがタイヤから発生する音が室内に入ってくる。
乗り心地はやや柔らかめだが、決してふにゃふにゃした感じではなく操縦安定性もまずまずのレベル。高速でしっかりした手応えを感じさせるステアリングのフィールと合わせて特に不満は感じない。逆にブレーキの踏み応えにはもう少ししっかり感が欲しい。
基本的には3.3GLSだけの単一グレードながら、装備をさらに充実させたLパッケージの設定もある。価格はベースのGLSで300万円をわずかに切る水準で、Lパッケージだと340万円弱の水準となる。GLSでも十分に満足できる仕様が用意されるので基本的にはこれがお勧め。サンルーフなどを欲しいユーザーがLパッケージを選べばいい。
グレンジャーの魅力はコストパフォーマンスの高さだ。ボディサイズなどはクラウンやフーガなどより大きいが、価格はクラウンやフーガなら2.5Lエンジンを搭載したモデル並みの水準。装備の中身をまで含めて考えると実質的な価格差はさらに広がることになる。
従来のXGは個人タクシーとして使われる例が多かった。今回のグレンジャーは排気量アップなどによって価格帯がやや上昇したが、個人タクシーなどの実質本位で選ぶユーザーから引き続き支持されるだろう。