基本プラットホームはワゴンR系のものを採用しており、特に新しさはない。搭載エンジンやATなども共通である。可変バルブタイミング機構を備えた自然吸気エンジンは40kW、ターボ仕様車は44kW(60ps)のパワーを発生する。ターボも軽自動車の上限の64psを発生する仕様ではなく、スズキがMターボと呼ぶマイルドな仕様のものが搭載される。
自然吸気エンジンの動力性能は軽自動車としてごく平均的なレベルのもの。アクセルを踏み込むとそれなりの騒音を発生させながらパワーが盛り上がっていく。ATの変速フィールはとても好感の持てるもので、全開で加速しているときでも少ないショックでシフトアップしていく。
足回りは乗り心地を重視したチューニングで相当に柔らかめの印象を受ける。スポーティな走りを目指したクルマではないので当然といえば当然だが、コーナーでハンドルを切ると大きく傾き、柔らかすぎる印象を受ける。ステアリングの手応えなども柔らか過ぎる印象で、もう少ししっかりした落ち着きが欲しい感じ。
特に自然吸気エンジンを搭載したモデルでそうした傾向が強い。まあ主なターゲットである女性ユーザーにはこうした味付けが好まれるのだろう。ターボ車にはローダウンしたスタビライザー付きの専用サスペンションが用意されるが、柔らかめの乗り味を感じさせる点は共通である。
オプションで装着すれば良いとはいえ、ABSを標準装備していないGは問題外と考えたい。快適装備を充実させて112万円ほどの価格が設定されたXが選択すべきグレードだ。これなら満足して乗ることができる。
ターボ仕様のエンジンを搭載したTは快適装備などは基本的にXに準じるが、ターボや足回りの仕様、アルミホイールの有無などによって価格は10万円ほど高い123万円ほどになる。MRワゴンの性格を考えたら、あえてターボ車を選ぶまでもない。Xを選んでおけば十分である。