《LS》の標準仕様は770万円。この額面だけ見ると《セルシオ》に対して100万円以上の価格アップだが、実際はそれほどでもない。というのも、最終型セルシオの「C仕様」は667万円弱だったが、カーナビはオプション設定。これを加えると約720万円になり、さらにLSでは横滑り防止装置の「VSC」が統合制御の「VDIM」に発展し、さらに「ニーエアバッグ」なども加わる。こういった装備にサービスプログラムなどの価格換算まで加味すると、仮にベースが従来型のセルシオでも740万円くらいに達してしまう。従ってLSの純粋な「レクサス代」は30万円前後だ。《IS》や《GS》とトヨタのLサイズセダンを比べても同様の価格換算が成り立つから、LSだけが極端に高いワケではないのである。
また「LSの受注はセルシオからの代替えが中心」というが、それも納得できるところ。セルシオに乗る多くのユーザーはカーナビ付きで買っているから、LSを割高とは感じないのだ。つまり、目下のところ「LSはレクサスではなくトヨタ車」と言える。
そうなると、問題は「サービス体制」。レクサスの店舗数はセルシオを扱ったトヨタ&トヨペット店の10%以下で、都市部を除くと車検や点検時の引き取り&納車が困難になることも懸念される。日本は北米ではないから、顧客がディーラーへ足を運ばずに済むことが最高の「もてなし」だ。トヨタ&トヨペット店はそれを着実に行ってきた。
店舗数を増やして綿密なサービスを続けていけば、やがてはトヨタ派生型の上級ブランドを築けるだろう。ただし、トヨタを超えるのは困難。トヨタには50年以上におよぶ実績があり、絶大な信頼を勝ち取った国内最高のブランドであるからだ。