豪快でトルキーな走りのV8は5ATとの組み合わせ
今回試乗したのはV型8の4.6Lエンジンを搭載したクーペとコンバーチブルだったが、いずれもいかにもアメリカ車らしい走りを見せてくれた。V8エンジンならではの低くて太い排気音はマスタングらしさを象徴するものだし、排気量に見合う力強い低速トルクによって余裕の走りを見せるのはアメリカ車の持つ良さといえる。
アクセルを踏み込めば馬力換算で300psを超える224kWのパワーによって豪快な加速フィールを味わうことができる。このV8エンジンは3バルブのSOHCながら、吹き上がりの滑らかさはまずまずのもので、アクセルの踏み込みによってエンジン音や排気音とともにパワーが盛り上がっていく感じは古き良き時代からのアメリカ車のものだ。
電子制御5速ATの変速フィールはまずまず好感の持てるもので、ショックの少ない滑らかな変速を実現する。ややローギアードに設定された各ギアが豪快な加速感演出している面がある。
古典的なリジッドを採用する足回り
足回りは前輪がマクファーソン・ストラット式。後輪は3リンクリジッドというこれまたある意味で古典的な組み合わせ。リジッドの後輪は路面状況にかかわらず安定して良く走るというイメージを持つものの、乗り心地は硬くて快適性に欠ける印象。スペシャリティカーであるだけに、アメリカ車のセダンが持つような柔らかな乗り味ではない。
●お勧めグレード
簡単な操作ですぐにオープンボディにすることのできるコンバーチブルは、日本では楽しめる期間が短いのが残念なところ。今回は湘南の逗子マリーナをベースにした試乗だったが、この地区を走ってもトンネルを走ることになるコースはけっこう多いし、トラックの後について排気ガスを浴びながら走ることもしばしばだった。一般的にはクーペを選ぶことになるだろう。
V型8気筒エンジンのほかにV型6気筒エンジンの搭載車も用意されていて、70万円の価格差が設けられている。装備面ではシートの違いとタイヤサイズが18インチに対して16インチになることなどがV型6気筒エンジンの搭載車の特徴だが、マスタングらしさを考えたらV8GTクーペを選びたいところ。V8豪快さがマスタングの魅力だ。