大々的にCVTを投入した意欲的な変更
新型ムーヴは基本メカニズムに関しても意欲的な設定がなされている。搭載エンジンはエッセから採用が始まったアルミブロックの新エンジンが搭載され、ソニカから採用が始まったターボ仕様エンジンも搭載するとともに、やはりソニカから採用が始まったCVTをターボだけでなく自然吸気エンジンとも組み合わせて設定している。
CVTの生産上の制約などもあるらしく、さすがにまだ全車一斉にCVTに切り換えることができなかったようだが、新機構・新技術を意欲的に取り入れる姿勢はすごいと思う。今年の軽自動車ではMRの駆動方式を採用した三菱のiに驚かされることから始まったが、最後に出てきたムーヴの驚きもそれに匹敵するものがある。
見た目、インテリアのインパクトさえ上回る走り!
実際に走らせた印象も相当に良い。ホイールベースが長くなったことは乗り心地や安定性に貢献する要素で、フラット感のある走りのフィールは軽自動車の中では上位にくるものだ。ただ、個人的な好みで言うと標準系の足回りはちょっと柔らかすぎる印象で、カスタム系の足回りがちょうど良いくらいの印象。カスタム系はマンホールなど小さな段差を超えるときにやや突き上げを感じるが、全体として乗り心地は暗転性が良くバランスされている。
CVT車を中心に試乗したが、ターボ仕様のエンジンでは、ソニカのときに気になったキーンという異音がほとんど気にならないものになっていたし、自然吸気エンジンとの組み合わせも上々。低速域でもギクシャクした感じになることなく、滑らかな走りを実現している。ダイハツの最新のエンジンは自然吸気でもターボに近い動力性能を発揮することも、滑らかな走りに貢献している。
4ATよりCVTが魅力である
AT車にも試乗したが、CVT車に乗った後のAT車ではやはり変速ショックが気になる。いくらか安上がりになる分だけAT車を選ぶユーザーがいるかも知れないが、2ペダル車はなるべく早くCVTだけの設定にしたら良いと思う。
●お勧めグレード
価格的には高くなるが、お勧めはカスタム系のモデル。ターボエンジンを搭載したRSだと車両価格が148万円に達するのでさすがに高い印象になるが、自然吸気エンジンのXリミテッドなら120万円台の価格で手に入る。これがイチ推しのグレードである。
ここまで書いてきたように、新しいムーヴは非常に意欲的に作られたデキの良い軽自動車だと思う。カスタム系のXリミテッドやRSに限らず、ほかのグレードでも十分にお勧めできる。強いて言えば、ABSを外した標準系のLだけが絶対に買ってはいけないグレードとなるだけだ。オプションで装着できるとはいえ、こんなグレードでは買う方も恥ずかしい。