まるで乗用車のような滑らかな走りを実現した!
エクスプローラー・スポーツトラックで走り出すとすぐに、あれっ? という気持ちになった。いかにもトラックらしい走りや乗り心地を予想していたのだが、それが完全に裏切られたからだ。トラックではなく乗用車に近い完全なSUVとしての走りがあった。
アクセルを踏み込むと搭載されるV型6気筒4リッターSOHCエンジンは滑らかに吹き上がる。パワー&トルクは213ps/35.1kg・mだから、際立ってパワフルなものではないが、2230kgに達する重量級のボディの重さを感じさせない走りを見せる。組み合わされる5速ATも滑らかな変速フィールを見せる。走りに関してはエクスプローラーと同等のフィールを持つといって良い。
普通のクルマでは味わえない独特の乗り味
乗り心地についても同様だ。貨物用のトラックでは後輪にリーフスプリングを採用するのが普通だが、エクスプローラー・スポーツトラックでは前後ともショート&ロングアーム式と呼ばれる独立懸架のサスペンションを採用している。今回の試乗はほぼオンロードのみだったが、しっとりした感じの乗り心地はトラックとは全く違うものだ。
大きめなボディの左ハンドル車なので、決して取り回しに優れているとはいえないし、乗り降りにもステップを使うなどしてやや不便なところがあるのは止むを得ない。そうしたことを承知の上で、乗用車とも普通のSUVとも違う積載性を求めて買うクルマである。
●まとめ
日本のメーカーがピックアップトラックを販売しなくなってしまったので、エクスプローラー・スポーツトラックには一定の存在意義があるのは確かだ。ただ、日本のメーカーが販売しなくなったのは、一定以上の販売台数が見込めないからで、エクスプローラー・スポーツトラックもそうたくさん売れるクルマではない。年に150台程度の販売を目指すというレベルの話だ。
エクスプローラー・スポーツトラックには5人が乗れて荷物も積めるという特徴があるので、特に荷物の積載性の部分に注目するユーザーが選ぶのは意味があると思う。アドベンチャー・スピリットやアメリカン・フリーダムを象徴するクルマとして遊び心で乗るクルマである。そうしたニーズのあるユーザーには398万円の価格も納得できるものになるのではないか。