大きな不満を感じさせない出来のいい1.4リッターエンジン
搭載エンジンは3機種。ONEに1.4リッターの自然吸気エンジンが搭載され、クーパーには1.6リッターの自然吸気、クーパーSには1.6リッターの直噴ターボが搭載される。2機種の自然吸気エンジンにはBMWの独自技術であるダブルVANOSやバルブトロニックなどのバルブ系の技術が盛り込まれ、燃費や環境性能に優れたエンジンに仕上げられている。
注目されるのはONEに搭載された1.4リッターエンジンだ。動力性能は95ps/14.3kg・mで、従来のエンジンに比べるとパワーがやや向上してトルクは同じだが、排気量が1.6リッターから1.4リッターになっているので、性能的には大きく向上している。しかも燃費もマニュアル車で14.0km/Lから17.2km/Lへと大きく向上しているのだ。
しかも実際に走らせた印象も決して悪いものではない。今回の試乗では、クーパーやクーパーSと合わせて試乗したが、箱根のワインディングロードを走っても1.4リッターエンジンで大きな不満を感じないのだ。上り坂での加速ではさすがにややパワー不足の感もあり、クーパーなどのほうが良いと思うが、常用域での使い方を考えるとONEのエンジンで十分という印象である。小さめのボディで車両重量も軽いので、1.4リッターで十分なのだ。
軽快でスポーティな走りが楽しめるサスセッティング
足回りもしっかりした乗り味で安定性と乗り心地のバランスが取れているし、ステアリングのフィールも手応えが十分で、確かな切れ味を感じさせてくれる。15インチのタイヤも適切なものといえる。
排気量が1.6リッターに上がるクーパーは、動力性能的な余裕もあって箱根のワインディングでも軽快な走りが楽しめる。試乗車はスポーツサスペンションを装着した仕様だったため、乗り心地はかなり硬めだった。スポーティな走りにはこれくらいの硬さがあっても良いが、一般には乗り心地にも配慮した標準サスのほうがお勧めだろう。
ミニのATはクーパーに限らず全車とも6速ATである上に、マニュアル操作が可能なステップトロニックとパドルシフト付き。パドルを操作するだけでもマニュアルモードに入る(一定時間で元に戻る)ので、瞬時の操作も可能である。もちろんシフトレバーをマニュアルモードにした上で、レバーやパドルを操作すれば完全なマニュアルモードとして使える。このATのデキの良さはスポーティな走りにつながるものだ。
クーパーSでは6速MT車に試乗したが、これはパワーも175psと余裕があり、しかも低回転域から太いトルクを発生するターボエンジンなので、とても気持ちの良い走りが可能。1200kgほどのボディを軽々と引っ張っていく。これはちょっとしたスポーツモデルである。
ミニは全体にシートの着座位置が低いのが特徴。ドライバーのアイポイントと路面が近いので、普通のクルマ以上に速度感を感じるような印象がある。これもまたミニの楽しさのひとつなのだろう。
●お勧めグレード
ONEに搭載される1.4リッターエンジンのデキが相当に良いので、これで十分という印象。特に街乗りを中心使う女性ユーザーが選ぶなら、まずはONEがお勧めグレードになる。ただ、ある程度スポーティな走りを楽しみたいとか、高速走行をする機会が多くて追い越し加速も十分に得たいなら、1.6リッターエンジンを搭載したクーパーのほうが良いと思う。
問題なのは、ONEとクーパーでは横滑り防止装置のDSCがオプション設定になっていること。なので、ONEやクーパーを買うときにはDSCを忘れずにオプション装着する必要がある。同時にBMWには、良い安全装備を作ったのなら、オプションではなく標準装備にするように望んでおきたい。