【メルセデス・ベンツ Cクラス】アバンギャルド 走り

達人「大岡 智彦」が斬る!

評価

大岡 智彦

職業:コリズム編集長
自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。

走りの質はピカイチ!! お気に入りは「C300アバンギャルドS」

 歴代のメルセデス・ベンツCクラスの中で、もっとも走りが楽しいと感じた。とりあえず、私も少々古くはなったが初代CクラスであるW202型のオーナー。それゆえに、新型メルセデス・ベンツCクラスの走りの進化には目からウロコ。試乗場所となったツインリンク・モテギで、そのパフォーマンスに少々酔ってしまった。
 試乗したグレードは、C300アバンギャルドS、C200コンプレッサーアバンギャルド、C200コンプレッサーエレガンスの3台。結論から言うと、C300アバンギャルドが一番のお気に入りとなった。サーキットという特殊な環境ということもあるが、やはりパワーと全高を15ミリ下げるスポーツサスペンションや大型ブレーキキャリパー&ドリルドベンチレーテッドディスクなどを装備するC300アバンギャルドが一番走っていて楽しい。とにかく、サーキットをこの手のセダンで30分近くも激走させているのにまったくといっていいほどブレーキのパフォーマンスが落ちないのだ。C300だと最高速約180km/hくらいからイッキに減速するのだが、これを繰り返してもブレーキはまったくへこたれていない。ブレーキング時の姿勢もお見事! 不安感を感じさせないままコーナーの奥までブレーキを踏んでいける安心感が素晴らしい。

【メルセデス・ベンツ Cクラス】アバンギャルド フロントビュー
【メルセデス・ベンツ Cクラス】アバンギャルド リヤビュー
【メルセデス・ベンツ Cクラス】アバンギャルド タイヤ&ホイール
【メルセデス・ベンツ Cクラス】エレガンス フロントビュー
【メルセデス・ベンツ Cクラス】 エレガンス リヤビュー
【メルセデス・ベンツ Cクラス】エレガンス タイヤ&ホイール

 C200になると、大型のブレーキキャリパーが装備されていないためか、走っていると徐々にブレーキがフェード気味になってきて、ブレーキを踏み込む量が多くなってくるのが分かる。だからといって、そのままブレーキが効かなくなることがないのもメルセデスらしさといえるだろう。

ストレスフリーにしてくれたのは7速AT

【メルセデス・ベンツ Cクラス】アバンギャルド インパネ

 走る楽しさに影ながら貢献していたのが、C300に搭載されていた7速AT。C200の5速ATだと、2速と3速の間でもどかしいコーナーがいくつかあり、少々ストレスになっていたが7速ATだと、そんなストレスからも開放される。ほぼどのコーナーにおいても最適なギヤがあり、とてもスムースに走れた。恐らく、このシチュエーションは一般道においても同じ。各ギヤがエンジントルクのおいしい所をしっかり使ってくれるので、とても走りやすいはずだ。

【メルセデス・ベンツ Cクラス】シフトレバー
【メルセデス・ベンツ Cクラス】エンジン
【メルセデス・ベンツ Cクラス】エンジン

各所で効いてるアジリティコントロール

【メルセデス・ベンツ Cクラス】アバンギャルド ドライビング

 ハンドリングに関しては、もはや今年の業界内流行語大賞である「アジリティ」をテーマに磨きこまれている。アジリティとは、日本語で分かりやすくいうと「俊敏さ」と理解するといいかもしれない。メルセデスでは、俊敏さと快適性を両立させる技術をアジリティコントロールと呼んでいる。新型Cクラスに標準装備されるセレクティブダンピングシステムが、そのトピックといえるもの。簡単にまとめると、低速域では減衰力を低減して乗り心地重視に、高速域では減衰力を高めて操安性を高めるというものだ。いわゆる可変式ダンピングショックアブソーバー。多くのメーカーは、電子制御式を多く採用しているのに対し、メルセデスのものは油圧機械式となるのが特徴だ。このシステムを導入することで、ボディのロール角が最高で10%も減少するという。

 サーキットという特殊な場所での走行だったため、乗り心地に関してはなんともいえないが、ワザと縁石に乗り上げてみたがクルマが暴れたり不快な振動が入るといったケースは感じ取れなかった。メルセデスの伝統ともいえる「鋼のボディ」は健在で、暴れる足回りをしっかりと支えている印象だ。

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走る楽しさは「メルセデス」らしさを失っていない!

 と、まあ、いかに新型Cクラスがスポーティなのかということがよく分かると思う。じゃあ、新型Cクラスは直接のライバルとなるBMW3シリーズにより近くなったのか? と聞かれると答えはノーだ。サーキットだというのに、直線ではメルセデスらしい重厚感あふれる直進性能に身を任せ、肩肘をアームレストに移し楽チン運転だって可能。メルセデスらしい運転の楽さは変わらない。サーキットとはいえ、ドライバーに必要以上の緊張感をあたえない伝統は受け継がれている。
 俊敏なハンドリングを身に付けたといっても、コーナーリング中は常に安定方向。アクセルのオン&オフで姿勢を大きく変えることも無く、リヤタイヤのスタビリティは恐ろしく高い。よっぽどのムチャをしない限りリヤタイヤが滑り出すことなどほどんどない。大げさに言うと、どんなドライバーでもブレーキングしてステアリングを切りアクセルを踏むだけ。サーキット走行だっていうのに疲れない。そういう意味では、疲れを感じさせないロングドライブを得意とするメルセデスの面目躍如たる走りの現れだろう。

【メルセデス・ベンツ Cクラス】走り(サイドビュー)
【メルセデス・ベンツ Cクラス】走り(フロントビュー)
【メルセデス・ベンツ Cクラス】走り(リヤビュー)
【メルセデス・ベンツ Cクラス】走り(フロントビュー)
【メルセデス・ベンツ Cクラス】走り(サイドビュー)
【メルセデス・ベンツ Cクラス】走り(サイドビュー)

ESP(横滑り防止装置)、後席中央三点式シートベルトなどが標準装備!!

 アジリティ、アジリティというものだから、走りばかりが注目されるが安全性も新型Cクラスの背骨ともいえる重要な要素。国産車の多くには標準装備されていない横滑り防止装置(ESP)や後席中央三点式シートベルト、後席中央ヘッドレストはもちろん標準装備。さらに、合計8個ものエアバッグが乗員を保護してくれる。新型Cクラスは、PRO-SAFEと呼ばれる包括的な安全思想の元開発を行なってきた。PRO-SAFEの基本的な考え方を簡単にまとめると、事故の危険を警告⇒回避⇒乗員の保護体勢⇒乗員保護⇒乗員の早期救助と二次災害の防止をトータルで行なうシステムだ。トピックはPRE-SAFEと呼ばれるもので、ある一定の危険を予知するとスライディングルーフや各ウインドウを自動で閉じるのだ。これで事故後の車外放出などを防ぐ役割をもつ。その他、シートベルトを巻き上げたり、助手席のシート位置を自動で適正な位置へポジション変更するなどし、事故後のダメージを最低限に引き下げるテクノロジーが盛り込まれている。安全性能に対して妥協のない姿勢はメルセデス=安全という神話ができる所以でもある。

【メルセデス・ベンツ Cクラス】アバンギャルド シート
【メルセデス・ベンツ Cクラス】アバンギャルド 後席中央3点式シートベルトが標準装備!
【メルセデス・ベンツ Cクラス】エレガンス シート

ライバルBMW3シリーズの顧客を取り込めるか!?

【メルセデス・ベンツ Cクラス】アバンギャルド フロントマスク

 グリルセンターに大きなスリーポインテッドスターを埋め込み、ちょっとハデハデしいスポーティ感を演出するアバンギャルドを追加。あくまで俊敏さをキーワードにライバルBMW3シリーズの顧客を取り込みたい新型Cクラス。HDDナビも標準装備され価格は450万円から。ボディサイズも1,770ミリと肥大化する全幅もなんとか1,800ミリ以下で最小回転半径も5.1メートルと使い勝手も良好。W203型先代のCクラスは、欲しいとは思わなかったが新型Cクラスは即座に長く付き合ってみたい1台と思えた。後は450万円を即座に用意できる自分自身になること・・・。それが一番難しい・・・(泣)

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代表グレード
C300 アバンギャルドS
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4,630×1,770×1,430mm
車両重量[kg]
1,570kg
総排気量[cc]
2,996cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
231ps(170kw)/6,000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
30.6kg-m(300N・m)/2,500-5,000rpm
ミッション
電子制御7速AT
10・15モード燃焼[km/l]
9.5km/l
定員[人]
5人
税込価格[万円]
664万円
発売日
07/06/22
レポート
大岡智彦
写真
高木博史