祖先は商業車。でも遊び心いっぱい!
「カングー」は、元来同社「エクスプレス」の後継にあたるモデル。「エクスプレス」は、フランス本国では、生花店や宅配便などを営む業者が多く愛用する純粋たる商業車であったが、「カングー」は、ファミリーユースを考慮して設計された。日本には未導入だが、「カングーエクスプレス」といった現行型の商業車も存在している。「カングー」の日本導入は02年春だが、これまでに2回のマイナーチェンジを受けた。今回紹介するモデルは、今年5月末に少変更が行われ成熟を迎えたモデルだ。まだ、国内にはほとんど流通していないという新色の「ミントブルー」をサンプルに細部をチェックしてみよう。
お隣のアノ車とは違う小粋なエクステリア
「カングー」が本国デビューを果たしたのが1997年。それから後れること5年、待望の日本上陸をした。「トゥインゴ」の兄貴分のようなキュートな顔つきと圧倒的な実用性が人気を博し、インポーターが見込んだ以上の売り上げを誇った。
03年にフロントマスクの変更が行われ、これまでの“ニンマリ”顔から、精悍なツリ目に変更され、カットガラス式のヘッドライトは、ポリカーボネイトを採用した、マルチリフレクター式に刷新された。
基本的にスクエアボディだが、弧を描くフェンダーラインや適度に曲線を持たせたルーフラインなどキュートな印象は、相変わらず健在である。
全長は4035mmと大変コンパクト。しかし全高は1810mmとトールボーイのため、乗降性、荷物の積載性ともに非常に優秀。肥大化する昨今のクルマが多い中、全幅も1670mmと余裕で5ナンバー枠に収まる。
今年の5月に行われたマイナーチェンジでは、エクステリアの変更はなし。サンプル車の「ミントブルー」が新たに新色として加えられた。
収納スペースは至るところに存在する使い勝手のよさ
カワイイだけの内外装はフランス人の理に適っていない。まずは、実用性が優先なのだ。
それを証明するかのようなインテリアには、運転席周りだけでも、豊富な“物入れ”が存在する。まずドアポケット。フランスでは需要の高いペットボトル飲料をはじめ、大型の手帳や財布などの小物を放り込んでも十分余裕のあるものだ。
また、これは便利!と感じたのは、運転席上部に設けられた、「オーバーヘッドコンソール」。意外なほど広大なスペースを有しており、ティッシュペーパー程度を置ける棚と思ったら大間違い。一般的なブリーフケースくらい余裕で収納できてしまうほどなのである。
また、後席のサイド上部にも、航空機のような「オーバーヘッドコンソールボックス」が設けてあり、乗員それぞれの荷物を収納できる。
古き良きフランス車テイストが残るインテリア
運転席に腰を下ろすと、やや古いフランス車を知るものにとっては、どことなく懐かしさを感じる。世界的にインテリアにも“質感”を追求している昨今のクルマと比較した場合、ややチープシック。弾力性のない素材のダッシュボードはプラスチッキーだし、エアコンの吹き出し口は、10年以上前に設計されたC3G型「トゥインゴ」セカンドセレクションからの流用品だ。
しかし、その古さをリメイクするかのように、装備品には充実を図り、フランス本国と同じデザインのCD一体型AM/FM4スピーカーオーディオは、大口径の4スピーカーを搭載。ステアリングの右裏に装備されたサテライトスイッチでほとんどの操作が可能である。
また、今となっては新鮮なマニアルエアーコンディショナースイッチは、ダイアル4連式であるが、空調ファンの風量を向上させ、無段階調整式を採用。効きに関しては、“国産車並み”といえる。
また、黒字からスポーティな印象を与えるピュアホワイトパネルに変更された計器は、オレンジの透過照明を採用。燃料計と水温計はデジタルバーグラフ式、中央には、平均燃費や巡航可能距離を表示するオンボードコンピューターが採用された。
軽快な1.6Lエンジンと楽しいハンドリング
03年に従来のSOHC「K7J」型1.4Lから、DOHC「K4M」型1.6Lに刷新されたエンジンは、75psから95psにパワーアップ。形式こそ変更はないが、ヘッドカバーのデザインも5月のマイナーチェンジでスポーティなものに変更された。
20psのパワーアップは、絶大でフル乗車時でも「モアパワー!」と叫びたくなるような場面は皆無。学習機能付きプロアクティブ4速ATは、やや時代遅れの感も否定できないが、エンジンとの相性もバツグン!低速トルクは細めだが、回転上昇とともにトルクが盛り上がり、意外な程スポーティなサウンドとともに、周囲の交通をリードすることも容易である。
また、ハンドリングも可愛らしいエクステリアからは想像もつかないほどスポーティ。この手のクルマに見られる“腰高感”など感じさせないまま、クイックなステアリングフィールとともに、走らせる楽しさも十分味わえるところは、さすがラテン車である。
また、どこかの国のクルマのように、いたずらに口径を大きくせず、車体とのマッチングが良い14インチというタイヤの選択も好ましい。
コリズムでもお伝えしているとおり、この「カングー」は、【フランクフルトショー07】にて新型が発表されていますが、ベーシックなフランス車らしさでは、今回紹介したモデルのほうが“濃厚”といえます。
成熟を迎え、完成度も高い「カングー」。来年には新型「トゥインゴ」とともに新型「カングー」が国内上陸予定です。
現行モデルを購入するなら、ズバリ今といえます!新型登場ということで、値引きも期待できるはずですよ!ドライバーにも、家族にも優しいこのクルマ。家族との時間を大切にするオシャレなご一家にオススメな一台といえます。
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written by 外川 信太郎