CTSに乗って感じるのはまずキャデラックらしいゆったりした感じの余裕だ。搭載エンジンはV型6気筒の3.6Lなので、STSに搭載されるノーススターのV型8気筒エンジンほどの余裕ではないのだが、ゆったりした乗り味はキャデラックならではだ。
その3.6LエンジンもVVT機構付きの直噴エンジンとされ、311ps(229kW)/38.1kg-m(374N・m)のパワー&トルクを発生しており、十分に排気量に見合った動力性能を持つ。大柄なボディのCTSは車両重量が1810kgに達するが、この重さに十分に対応できる動力性能である。アクセルを踏み込めば滑らかな吹き上がりとともに、パワーが盛り上がって豪快な加速感を味わわせてくれる。6速ATの変速フィールも高級車にふさわしい滑らかさだ。
足回りは乗り心地の良さとスポーティさがうまくバランスされている。基本的には柔らかめの味付けがなされた足回りながら、3.6L車にはパフォーマンス志向のスポーツサスペンションが採用され、しっかりした乗り味を感じさせる。ダイレクト感のある確かなステアリングフィールもCTSのスポーティさを伝えるものとなっている。
快適なドライブフィールとスポーティさとがうまく融合されたのが今回のCTSといえる。
●お勧めグレード
キャデラックCTSには今回試乗したCTS3.6のほかにCTS2.8の設定もある。2.8Lエンジンは直噴仕様ではなくパワー&トルクは214ps(158kW)/25.1kg-m(246N・m)だから、3.6Lエンジンに比べると動力性能にははっきりした違いがある。また3.6ではスポーツサスペンションが採用されるのも相違点だ。
なので、CTSの新しい魅力であるスポーティなパフォーマンスを楽しみたいなら3.6のほうがお勧めだが、それ以外のラグジュアリーな快適装備は、BOSEの5.1chサラウンド・サウンド・システムなとも合わせて両方のグレードに共通だ。それで価格は620万円と495万円で、125万円もの違いがあるから、リーズナブルな印象があるのは2.8のほうだ。