スマート・フォーツーは当初、ダイムラー・ベンツと時計メーカーのスウォッチとの提携で開発されたモデルだが、スウォッチが手を引いた後はダイムラー・クライスラーの完全な子会社としてスマートが作られてきた。
フォーツーはミニマムサイズのシティコミューターをテーマに開発されたクルマで、小さなボディによって環境負荷の小さい低排気ガス、低燃費のクルマであるだけでなく、メルセデス・ベンツのクルマらしい高い安全性も備えていた。トリディオンセルによる安全ボディなどはその典型だ。安全性と居住性を両立させるためにRRの駆動方式を採用したのも特徴だ。
2代目フォーツーは2007年秋の東京モーターショーに合わせて発表され、2008年1月からデリバリーが始まった。基本的に初代モデルのコンセプトをそのまま受け継いで作られており、コンパクトで低排気ガス・低燃費で安全なクルマであることなどは全く初代モデルと同じである。
外観デザインも一見すると初代モデルと見間違うかというくらいの変化の仕方だ。トリディオンセルを示すツートーンカラーのボディは、セルの部分がやや細くなったものの全体的には同じイメージだし、旧型Cクラス系のツインいヘッドライトがCLS系の形状に変わったのもそれほど大きな変化ではない。外観デザインについても基本コンセプトを継承しているのだ。
ただし、ボディサイズはひと回り大きくなった。これは日米欧の最新の安全基準に適合させるためだ。初代モデルはヨーロッパや日本などでされるだけだったが、今回のモデルはアメリカでも販売されることになった。そのためにアメリカの基準に合わせなければならなかった部分も多いようだ。逆にフロント部分などは歩行者傷害に対するヨーロッパの最新基準に適合するように作られている。
ダイムラーとしては、スマート・フォーツーのような小さなクルマをたくさん作らないと、メーカーとしての加重平均燃費が下がらない。アメリカやヨーロッパで利益の多いSクラスなどをたくさん売るためには、燃費の良いスマートもまたたくさん売る必要があるのだ。