搭載エンジンはプジョーがBMWと共同開発した1.6Lの直噴エンジンにターボを装着したもので、1.6Lながら140ps(103kW)/24.5kg-m(240N・m)のパワー&トルクを発生する。組み合わされるのはプジョー独自の電子制御4速ATだ。
308に乗って走り出すとすぐに、このクルマの良さが分かった。まず感じたのは低速域でのトルク感で、アクセルを踏み込むまでもなく排気量の大きなエンジンのクルマに乗っているような余裕が感じられた。24.5kg-m(240N・m)の最大トルクをわずか1400回転で発生しているのだから、余裕を感じるのも当然といえるだろう。
走り出してすぐにもうひとつ感じたのは乗り心地の良さだ。いかにも柔らかくて当たりの取れた感じの乗り味は、これこそがプジョーの猫足といえるもの。ステアリングの柔らかなフィールと合わせて気持ち良い走りを実現できる。
プジョーは昨年発売された207でかなり硬めの乗り味としていただけに、今回の308がどうなるのか注目されていたが、308では改めてプジョーらしさを強調する方向に味付けしてきた。
物足りなさを感じるのはATが4速であることだが、これも207に比べると308ではあまり気にならなかった。トルクのあるターボエンジンを搭載しているので207の自然吸気エンジンに比べると格段に走りやすく、物足りなく感じられるのは単にカタログ表記だけの問題ように思えた。
●お勧めグレード
308は車格が向上した分だけ価格帯がやや高めになり、ベースグレードのプレミアムでもぎりぎり300万円を切る299万円の価格。本革シートなどを備えたシエロだと345万円に達するから、買うならプレミアムで十分といえるだろう。GTiは5速MT車だけの設定で355万円。走り志向でマニュアル車が好きなユーザーには良いが、一般的にはやや選びにくいグレードとなる。