長い歴史と伝統を誇るメルセデス・ベンツのプレミアム・ロードスターが「SL」だ。現行モデルは第5世代で、2001年に登場した。世界中に多くのファンを持つSLは、7年目を迎えた08年5月に大がかりなフェイスリフトを断行している。日本仕様はSL350とSL550、そしてV型12気筒ツインターボのSL600、AMGバージョンはSL63とSL65を設定した。
エクステリアは新しいトレンドのなかに伝統的なデザインを採り入れたダイナミックなデザインだ。また、オーディオ/ビジュアルシステムを統合したCOMANDシステムや乗員の首まわりに温風を吹き出すエアスカーフなどを採用し、快適性を高めた。
安全性の向上も見逃せない。ヘッドランプの照射を最適にコントロールし、常に最良の視界を確保する「インテリジェントライトシステム」を日本で初めて採用し、急ブレーキのときにブレーキランプが点灯して後続車に緊急性を伝える「アダプティブ・ブレーキライト」も採用された。メカニズムではSL350に搭載する3.5リッターのV型6気筒エンジンをパワーアップしている。バルブ機構に改良を加え、インテークマニホールドの形状を変えることによってプラス44psの316psを実現した。
エクステリアで目を引くのは、精悍さを増したフロントマスクだ。ヘッドランプは釣り眼の個性的なデザインに変わり、フロントグリルは20mmワイドになった。このグリルは伝説のガルウイングモデル「300SL」から継承される1本ルーバータイプである。ヘッドランプとボンネットに伸びる2本のパワードームと相まって凛々しい顔つきだ。フェンダーにはサイドエアアウトレットを刻んでいる。リアビューはデュフューザーデザインのリアスカート、スクエアタイプのツインクロームエキゾーストエンドなどで個性を演出した。