クラス最大級のボディサイズ
「シトロエンC5」と聞いて、それがどのカテゴリーに属するどんなクルマか具体的に説明出来る人は、相当の欧州車マニアだろう。ルーツは、82年デビューの「シトロエン BX」、93年デビューの「エクザンティア」と続くDセグメントクラスの中型モデル。つまり、ライバルはプジョー 407やVW パサート、メルセデス Cクラスといった競合がひしめく激戦区に属するモデルなのだ。ただし01年に現行のC5がデビューした際、全長を4.7mまで拡大。もはやクラスを超えたボディサイズを有するようになった。その後「DS」「CX」と続いてきたシトロエンの最上級モデル「XM」がフェイドアウトし、C5が実質的なシトロエンの上級モデルとなったこともまた、ユーザーのイメージを混乱させる原因と言ってよいだろう。
しかし06年にデビューした個性的な最上級モデル「C6」が登場し、改めてポジション整理を実施。その仕上げとして08年、7年ぶりに「C5」が待望のフルモデルチェンジを果たした。10月1日より発売開始となる。
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ボディタイプは、セダン(ハッチバックではない)と、「ツアラー」という名称を与えられたワゴンボディの2種。近年、欧州各メーカーは軒並みボディサイズの拡大を図る傾向にあるが、新型C5でもそのトレンドを踏襲してしまった。もともと大きかったC5だが、全長x全幅x全高はセダンで4795x1860x1470mm、ホイールベース2815mmとさらに立派な体格へ成長したのだ。ちなみに現行C5に比べて全長で55mm、全幅で80mm、ホイールベースで65mmとそれぞれ拡大され、一方で車高は10mmほど低くなっている。またツアラーでは全長x全幅x全高4845x1860x1490mmと、セダンに比べさらに全長で50mm延伸された。これは主にリアの荷室部拡大に充てられている。なおエンジンラインナップは、セダン・ツアラーともに直4 2.0リッターとV6 3.0リッターの2機種からセレクト出来る。
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シトロエンらしさにスポーティな風味をプラス
シトロエン新型C5 セダンは、現行C5に比べフロントオーバーハングをロングノーズ化。逆にリアはさらにショートデッキに仕立てることで、シトロエンファミリーらしいエレガントなフォルムが与えられた。これはC6と同様の傾向だが、新型C5ではさらに「スポーティ」さという新しいエッセンスを加味した。クーペ風の弧を描くルーフラインやボディサイドに走るシャープなキャラクターライン、ワイドで力強いフェンダーアーチなどがそれにあたる。
一方C5 ツアラーも、ワゴンボディとはいえ実用車然としたムードは全くない。フロント周りはセダンと共通だが、ボディサイドまで回り込んだワゴンオリジナルのリアコンビランプが目をひく。
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インテリアにおいても、シトロエンらしい強い個性が与えられる。センターフィックスステアリングは、オーディオなどの操作系を配置したセンター部を固定化しステアリングのリムのみが回転する。メーターもデジタルとアナログを融合した独創的なデザインだ。フロントシートは、バックレスト上部の角度まで調整可能なマルチパワーシートを全車に標準装備する。さらに3.0リッターモデルには本革シート化し、さらに運転席にマッサージ機能まで付く至れり尽くせりぶり。
またC5ツアラーには、電動サンブラインド付きパノラミックガラスルーフを全車に標準装備し、開放的な明るいインテリアを演出する。なおセダンではチルトアップ機構付き電動ガラスサンルーフをオプション設定する。
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独創のハイドロサスは電子制御の「ハイドラクティブIIIプラス」に
しかしなんといってもシトロエンのハイライトといったら、窒素ガスとオイルを使った独創のハイドロニューマチックサスペンションだろう。常に快適な乗り心地を提供し、車両の姿勢を一定に保つセルフレベリング機能に加え、新型C5では、走行状況によって自動的に「コンフォート」と「スポーツ」のモードを切り替える電子制御の「ハイドラクティブIIIプラス」を装備。高速走行時には車高を自動的に12mm下げるなど、4段階の車高調整も可能だ。さらにC5 ツアラーには、重い荷降ろしをサポートするため、荷室内のスイッチ操作での車高調整も可能となっている。このハイドラクティブIIIプラス、5年間もしくは20万キロのメンテナンスフリーがうたわれている点にも注目したい。
エンジンラインナップは、先に記した通りセダン・ツアラーともに直4 2.0リッターとV6 3.0リッターの2機種。2.0リッターDOHCエンジンは連続可変バルブタイミング機構付きで最高出力143ps(103kW)/6000rpm、最大トルク20.8kg-m(200N・m)/4000rpmと十分。シーケンシャルモード付き電子制御4速ATと組み合わされる。燃費やレスポンスの面からもATの多段化に期待したいところではある。
いっぽうのV6 3.0リッターDOHCエンジンは最高出力215ps (155kW)/6000rpm、最大トルク30.5kg-m(290N・m)/3750rpmと、さすがに圧倒的なパワーとトルクを達成する。こちらにはシーケンシャルモード付き電子制御6速ATが組み合わされる。
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「Euro NCAP」でクラス最高レベルをマーク
装備面では、急こう配での発進をアシストするヒルスタートアシスタンスやESP(横滑り防止装置)、ステアリングを切った方向を照らしてくれるバイキセノンタイプのディレクショナルヘッドランプなど、安全かつ快適にドライブをサポートする機能の装備が目立つ。また、欧州の自動車衝突安全テスト「Euro NCAP」で同クラス最高レベルをマークするなど、衝突安全性の高さも自慢だ。エアバッグは、ニーエアバッグほか前後席の各サイドエアバッグ、カーテンエアバッグなど、全部で9つのSRSエアバッグを標準装備する。
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価格は、ベーシックな「C5 2.0」が3,990,000円、「C5 3.0 エクスクルーシブ」は4,790,000円。ワゴンボディの「C5 ツアラー 2.0」は4,190,000円、「C5 ツアラー 3.0 エクスクルーシブ」が4,990,000円となっている(全て消費税込み)。ボディーカラーは標準色5色と特別注文色3色の計8色から選択可能。内装色も2色からセレクト出来る。
他に類を見ない強烈な個性を放つシトロエンの新型C5とC5 ツアラー。輸入車の激戦区に、また新たな悩ましい存在が増えた!
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( Photo:シトロエン・CORISM編集部/レポート:CORISM編集部 徳田 透 )
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代表グレード
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C5 3.0 エクスクルーシブ
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ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
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4795x1860x1470mm
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車両重量[kg]
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1730kg
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総排気量[cc]
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2946cc
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最高出力[ps(kw)/rpm]
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215ps(155kW)/6000rpm
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最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
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30.5kg-m(290N・m)/3750rpm
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トランスミッション
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シーケンシャルモード付き電子制御6速AT
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10・15モード燃焼[km/l]
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定員[人]
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5人
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消費税込価格[万円]
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479.0万円
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発売日
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2008年10月1日
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レポート
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CORISM編集部 徳田 透
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写真
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シトロエン/CORISM編集部
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取材協力
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プジョー・シトロエン・ジャポン
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