ガソリン車との外観上の違いは欧州仕様のグリルとバンパー中央の開口部程度(ステッカーは付きません)
臭い、汚いとは無縁のクリーン度を実現!
ついに「世界初のクリーンディーゼル」となったエクストレイルがデビューした! ガソリンエンジンと同等のクリーン度を要求している『ポスト新長期規制』と呼ばれる排気ガス規制をクリアしているというのだから画期的と言ってよかろう。
どれどれ、と試乗会場で排気ガスの臭いを嗅いでみたら、ディーゼル特有の排気臭は皆無。排気口の内側にススが全く付いていないことに驚く。ちなみに今後日本で発売するディーゼルの新型乗用車は、全てエクストレイルと同じクリーン度を達成しなければならない。
ただ、新しい規制をクリアするのは極めて難しい。クリーンディーゼルに注力しているホンダさえ、来年の秋以降になる模様。技術的な難易度からすれば、1997年にトヨタが出したハイブリッドのようなもの。というか3年前まで「そんな規制をクリアするのは不可能」だと言われてました。
ATの設定がない理由とは?
そうそう。エクストレイルのカタログを見て「なぜATの設定が無いのか?」と疑問に思う人も多いだろうけれど、マニュアルですら「何とか規制値をクリア出来ました」というレベル。マニュアルより燃費の悪いATは「排気ガスも多く出す」ため技術的なハードルがワンランク高くなる。
現在のエンジンに6速ATを組み合わせることは可能ながら、排気ガス規制をクリア出来なくなってしまうワケ。参考までに書いておくと、排気ガス規制が日本より圧倒的に緩いヨーロッパではエクストレイルにもAT仕様が設定されている。
コツさえ飲み込めば燃費と走りを高次元で両立できる!
前置きが長くなりました。乗るとどうか? おそらく最新のディーゼルを知らない人だと「低い回転域の粘りがありませんね」と感じることだろう。実際、2千回転くらいでシフトアップしていくと、このエンジンの「美味しさ」は味わえない。
何せ最大トルクの36.7kgmはインプレッサSTIバージョンやランサーエボリューション並。ブースト圧だって2バールもある! スポーツエンジン並なのだ。ある程度回転を上げてやらないと真価を発揮してくれない。
逆に2千回転以上を使えばディーゼルだと思えないくらいパワフル! 『20GT』というグレード名(ディーゼルなのに!)も納得してしまう。ドイツのアウトバーンで試乗した時は200kmでの巡航が出来たくらい。ガソリンエンジンなら3.5リッター級というイメージ。
それでいて燃費いいのだから素晴らしい。平均速度30kmという通勤モードならリッター15km以上走ってくれる。高速道路の90km巡航もリッター20km近く。ガソリン仕様より高価なディーゼル仕様だが、年間走行距離2万kmを超えるような人は、5年で収支トントンになります。