何かに似ているが、カワイイデザインで好感度高し


ダイハツ ムーヴキャンバスダイハツは、新型軽自動車でハイト系ワゴンに属する「ムーヴ キャンバス」の発売を開始した。


新型キャンバスの特徴は、まずひと目で分かる個性的なデザイン。このデザイン、少しクルマに詳しい人から見ると「あぁ、昔のあのクルマに似ているねぇ」といった印象をもつかもしれない。全体のシルエットは、丸みを帯びたボクシィなもの。優しく愛嬌があり、好感度は高い。さらに、XグレードとGグレードに設定された「メイクアップ」では、様々なメッキ加飾や、リヤコンビランプのクリアクリスタル化により上質感を表現。キャンバスの魅力をさらに引き上げている。

顧客の多様な好みに対応できるようストライプカラーは8色用意

ダイハツ ムーヴキャンバス軽乗用車やコンパクトカーでは、このところ2トーンカラーが流行している。キャンバスでも2トーンカラーは用意されており、従来のルーフだというタイプではなく、ついにボンネットやバックドアまで色を変えている。なんと、この手法もあのクルマと同じ。さらに、驚きなのはサイドステップや、フロント&リヤバンパーのボトム部にまで2トーンカラーにしていること。これは、なかなか目立つ。ダイハツは、ストライプカラーと呼んでいて8色も用意し顧客の多様な好みに対応できるようにしている。

シートは飽きのこないデザインを採用。汚れても手洗い可能

新型キャンバスのインテリアは、ベージュ系でまとめられていて明るく広々とした空間になっている。シートは、プレーンで飽きのこないデザインを採用。「メイクアップ」では、さらに個性を主張するソフトタッチな表皮と専用のシートパイピングの入ったシートを装備。さらに、使い勝手と個性を両立したディーラーオプションが用意された。これは、簡単脱着&洗えるシートクロスと呼ばれ、シートの柄を自分好みに変更することも可能だ。取り付け・取り外しが簡単で、汚れても手洗いすることもできるので、子供がいる人でも安心してオシャレな空間が楽しめる。

クラス初の両側スライドドアを装備!


ダイハツ ムーヴキャンバス新型キャンバスの全高は、1,655㎜とムーヴの1,630㎜よりやや高め。タントは1,750㎜なので、95㎜も低いことになる。このボディサイズは、ハイト系ワゴンに分類され、車名にムーヴと入っていることから、ムーヴと同じクラスに分類される。なぜか、このクラスには両側スライドドア車が存在しない。その理由は、車両価格が高くなること、車重が重くなり燃費が悪化するため、燃費志向の顧客に対応できないことなどが上げられている。しかし、新型キャンバスは、このクラスで初となる両側スライドドアを装備した。これにより、新型キャンバスの使い勝手は大幅に向上。タントのように上方へ過度なスペースが必要ないという顧客にメリットがある。 全高を低くしたことでのメリットもある。背高のスーパーハイト系は、全幅が狭いのに全高を伸ばしたことにより、クルマとしての完成度は高いとは言えない。なんといっても、横風には弱くフラフラする。さらに、重心が高いため、もしもの時に横転のリスクが高い。新型キャンバスは、全高を抑えたことで、こうしたスーパーハイト系のデメリットを無くしながら、スライドドアという利便性を手に入れ、バランスの取れたクルマとなっている。

<関連記事>
ダイハツ「タント」vsホンダ「N-BOX」をママの目線で徹底比較

スライドドアの利便性に『置きラクボックス』をプラス

また、スライドドアの利便性にプラスし、後席シート下や足元に置きラクボックスを装備。シート下にスッキリと収納できるだけでなく、直にフロアに置きたくない荷物を安定させて入れることができるようになっている。

「スマートアシストⅡ」一部グレードを除き標準装備


安全装備面では、自動ブレーキ関連の安全装備「スマートアシストII」が一部のグレードを除き標準装備化された。安全装備は、普及させなくては意味がないので、全車標準装備化が理想。スマートアシストIIが標準装備されていないクルマは、購入リストから外したい。また、スマートアシストIIは歩行者を認識して警告を出すものの自動ブレーキは作動しないという少々物足りない仕様。すでに、スズキは歩行者検知式の自動ブレーキを用意している。運転に自信が無い女性や初心者、高齢者が乗る機会が多い軽自動車こそこういった装備が必要で、顧客に安心感も与えることができる。

物足りな安全装備

ダイハツ ムーヴキャンバスまた、メイクアップ系には、サイドエアバッグが標準装備化。軽自動車は、小さいクルマなのでできる限りのエアバッグ類を装備し、乗員を守る必要がある。顧客が自らリスクを取らないのなら仕方のないことだが、他のグレードではオプションでも選べないというのでは、安全面は物足りないとしか言えない。そうすると、安全を重視するなら色々と加飾されたメイクアップ系を選ぶしかない。

初の「AFS」と「パノラマモニター」採用

視界面では軽自動車初となるAFS(Adaptive Front-lighting System)が採用。この機能は、ステアリング操作に応じてヘッドランプを可動させ、進行方向を照らすので、夜間のカーブや交差点での視認性が向上する。夜間の安全性を高める装備だ。これも、Gグレードのみの装備で、他のグレードではオプション設定されていない。 駐車時の安全性を高める機能として、ダイハツ初「パノラマモニター」が採用された。この機能は、4箇所のカメラにより、車両の前後左右を映し、上から見下ろしたような映像をナビ画面に表示。車両周辺の安全を確認できる。さらに、様々な表示モードに切替えが可能。狭い道でのすれ違い時や、見通しの悪い交差点で安全性を高めてくれる。

車重増加が原因で、燃費悪化


エンジンは、割り切った設定で自然吸気エンジンのみ。52ps&60Nmを発揮。この出力は、ムーヴと同じ。新型キャンバスの燃費は28.6㎞/L。ムーヴは31.0㎞/Lなので、かなり燃費は悪化した。燃費悪化の要因は、主に車重によるものだ。新型キャンバスの車重は920㎏なのに対して、ムーヴは820㎏と100㎏も重い。両側スライドドアが装備されたことによる車重の増加だ。ある意味仕方のないところなのだが、タントに対して10㎝弱も全高を抑えたのにもかかわらず、10㎏しか軽くなっていない。新型キャンバスは、軽量化に関しては、もう一頑張りして燃費向上を図りたいところだ。また、走行性能的にも自然吸気エンジンの出力で、920㎏もの車重というのは、やや非力に感じるレベルになる。ファーストカーとして、ロングドライブや高速道路を使う顧客にとっては、ターボエンジンが欲しいところだ。燃費はムーヴに比べて悪いものの、エコカー減税免税対象にはなっている。

<関連記事>
「コンパクトカーすら超えた走行性能を手に入れた!」ダイハツ ムーヴ購入ガイド

ムーヴ キャンバスの選び方


ダイハツ ムーヴキャンバス新型ダイハツ ムーヴ キャンバスの選び方。価格は1,188,000円から。パワースライドドアが標準装備化されているX“リミテッド メイクアップ SAⅡ”は1,479,600円。ムーヴより10万円程度高価なイメージだ。プラス10万円程度でパワースライドドアが付いていて、オシャレな内外装になるということを考えると、なかなか買い得感がある。基本的には、このグレードをメインに考えたい。この買い得感は、今後のハイト系ワゴンのトレンドを大きく変える可能性があるほどだ。 予算に余裕があるのなら、最上級グレードのG“メイクアップ SAⅡ”の1,544,400円もおすすめだ。XリミテッドメイクアップとG メイクアップの価格差は約6.5万円と小さい。装備差はBi-Angle LEDヘッドランプ、自発光式大型3眼センターメーター、スーパークリーンエアフィルターといったところ。LEDヘッドライトだけで、6.5万円の価値はある。満足度も高いだろう。

未使用車が出てくる可能性も高い

ダイハツは、このところN-BOXとの軽自動車販売台数ナンバー1戦争の影響か、タントの自社登録を大量に行い、中古車マーケットに未使用車を多く意味出している。こうした傾向を見ていると、新型キャンバスも魅力的だが、一定期間時間が経過すると大量の未使用車が出てくることも予想できる。未使用車は、一度登録しただけで新車とほぼ同じコンディション。価格はかなり安い。気に入った仕様があれば、新車を買うことがバカらしくなるくらいコストパフォーマンスは高い。新型キャンバスもそうした未使用車が出てくる可能性が高いので、すぐに買う必要がないのならしばらく様子見するのもいいだろう。

<関連記事>
「燃費以外すべてがナンバー1スペック」ホンダ N-BOX購入ガイド

ムーヴキャンバスに乗り換える前に今の愛車の買取相場を調べる


ムーヴ キャンバス価格


ダイハツ ムーヴキャンバスの価格は以下の通り。

・L 2WD 1,188,000円/4WD 1,312,200円
・L“SAⅡ” 2WD 1,252,800円 /4WD 1,377,000円
・X 2WD 1,296,000円/4WD 1,420,200円
・X“SAⅡ” 2WD 1,360,800円/4WD 1,485,000円
・X“メイクアップ SAⅡ” 2WD 1,414,800/4WD 1,539,000円
・X“リミテッド SAⅡ” 2WD 1,425,600円/4WD 1,549,800円
・X“リミテッド メイクアップ SAⅡ”2WD 1,479,600/4WD 1,603,800円
・G“SAⅡ” 2WD 1,490,400円/4WD 1,614,600円
・G“メイクアップ SAⅡ” 2WD 1,544,400円/4WD 1,668,600円

ムーヴキャンバスに乗り換えを検討しているなら!在庫を見てみる


◇執筆者プロフィール◇
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。


こちらの記事もよく読まれています