レクサスISレクサスは、スポーティセダンであるISをマイナーチェンジし発売を開始した。

‖不調のセダン系を支える人気スポーティセダン、レクサスIS

現行のレクサスISは、2013年5月にフルモデルチェンジし2代目となった。ISは、レクサスブランドのセダンの中で、最も多い販売台数を誇る。2代目がフルモデルチェンジした当時に用意されたパワーユニットは、V6 3.5Lと2.5Lのガソリンと2.5Lハイブリッドの3タイプ。クラウンベースの直4 2.5Lハイブリッドの300hが追加されたことで、セダンが売れない日本マーケットでもISは一定の販売台数を確保できるほどの人気モデルになる。

パワーユニットだけでなく、デザインでも人気を得た。従来のモデルとは大きく異なる大型のスピンドルグリルを装備し、迫力あるフェイスとなった。また、ボディサイドに入ったシャープなキャラクターラインなどで、スポーティセダンらしいシルエットをもった。優れた燃費を誇るハイブリッドシステムと、欧州車にも負けない迫力のフォルムを得たことから、レクサスの基幹車種ともいえる存在へ成長した。

その後、2015年7月には、SUVのNXに搭載された直4 2.0Lターボ搭載したIS200tがデビューする。このIS200tには、8速ATが組み合わされた。このIS200tの登場で、従来のV6 2.5Lを搭載したIS250は姿を消した。V6 3.5Lを搭載した350は、ラインアップ上に残ったが、アイドリングストップ機能すらなく燃費も悪い。そうしたこともあり、より販売台数を伸ばすため、人気のハイブリッド車である300hにはAWDが追加された。ISは、従来FR(後輪駆動)しかなかったので、どうしても降雪地域の顧客には敬遠されがちだった。しかし、ハイブリッド車にAWDが追加されたことで、降雪地域の顧客も安心してハイブリッド車であるIS300hを選ぶことができるようになった。

‖よりスポーティセダンであることにこだわったマイナーチェンジ

レクサスISマイナーチェンジでは、スポーティセダンであることを鮮明にアピールするために、スピンドルグリルは、さらに大きくなった。グリル下部がより大きく広がり、低重心でスポーティな印象を与える造形としている。また、両下端サイドのエアダクトは、より大きく存在感を主張。ブレーキダクトへ空気を導く機能性も表現することで、スポーティセダンであることを明確にした。

スポーティな走行性能がウリであるISなので、サスペンションまわりも変更された。まず、サスペンションのストローク速度が極めて低い状態から十分な減衰力を発揮する改良型ショックアブソーバーを採用。驚きなのは、フロントサスペンションロアアームをアルミ製化。剛性アップと軽量化を両立。これは、なかなか大胆な改良。フットワークそのものが大きく変化している可能性が高い。この部分は、ぜひとも試乗してチェックしたい部分だ。

さらに、スプリング・ブッシュの特性や、AVS・EPSの制御など、細部に至るまでチューニングを施し、操縦安定性と乗り心地をより高次元で両立し、運転の気持ちよさを追求した。また、運転の楽しさをプラスしてくれるCUSTOMIZEモード搭載のドライブモードセレクトを設定。CUSTOMIZEモード選択時には、パワートレーン、シャシー、空調の各制御の組み合わせを自由に選択することで、よりドライバーの嗜好に応じた走行モードを実現している。

‖歩行者検知式自動ブレーキはかなり遅れて登場だが・・・

レクサスISインテリアの変更点は、細部の素材やディテールの変更と軽微なもの。比較的大きな変更点では、水平基調のデザインはそのままに、ナビディスプレイを10.3インチに拡大。これにより、視認性が向上した。

豪華装備関連では、標準設定のレクサスISプレミアムサウンドシステムをスピーカー10個に増設。よりクリアな音質で広がりと奥行き感を伴う臨場感を実現。また、オプション設定の“マークレビンソン”プレミアムサラウンドサウンドシステムにもチューニングを施し、全席でより正確かつ立体的なサウンドを味わうことが可能となった。

先進安全装備では、ようやく歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備「レクサス セーフティ システム+」が全車標準装備化された。この機能は、歩行者に対する自動ブレーキ機能の他、車線逸脱による事故の予防に貢献する「レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御機能付)」(LDA)、夜間歩行者の早期発見に寄与しロー・ハイビームを自動で切り替える「オートマチックハイビーム」(AHB)、そして設定車速内で先行車の車速に合わせて速度を調節することで一定の車間距離を保ちながら追従走行できる「レーダークルーズコントロール(ブレーキ制御付)」をパッケージ化したものだ。

【安全装備、ライバル超えはならずか】

20161020_01_09しかし、標準装備化した点は十分に評価できるが、欧州のライバル車と比べるとやや見劣りする。レクサス セーフティ システム+は、輸入車を含めたこのクラスの装備としては最後発。しかし、性能面では最後発なのに遅れている状況だ。例えば、メルセデス・ベンツCクラスに装備されているレーダーセーフティパッケージは、6つのレーダーセンサーとステレオマルチパーパスカメラを搭載している。対するレクサス セーフティ システム+は、1つのミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせだ。レクサスは、自らプレミアムブランドとアピールするが、安全装備面ではトヨタブランドと同じ。さらに、同じプレミアムブランドであるメルセデス・ベンツのシステムに負けているという状態だ。メルセデス・ベンツCクラスは、後方まで監視、ドライバーを保護する機能まである。レクサスは、早急に安全装備のさらなるバージョンアップが必要だ。


‖レクサスIS、お勧めのグレードは。

さて、レクサスISの価格は、300hが5,150,000円から。マイナー前のモデルが4,999,000円なので、約15万円の価格アップとなった。レクサスセーフティシステム+の価格は、10万円弱といったところ。大型化されたナビ、フロントサスペンションロアアームのアルミ製化などを考えれば、トヨタとしては控えめの価格アップといえるだろう。

【やはりハイブリッドのIS300h F SPORT】

レクサスISレクサスISの選び方。まず、最初にパワーユニットの選択から始めたい。ISには、ガソリン車がV6 3.5L、2.0Lターボ車がある。どちらもハイオク仕様。速さという点だけでいえば、3.5Lが一番。しかし、このモデルは、価格も高く、アイドリングストップ機能も無いので燃費も良くない。また、圧倒的なハイブリッド車人気の日本マーケットでは、普通のガソリン車となるとリセールバリューも期待できない。そうなると、なかなか選びにくいエンジンだ。

そして、2.0Lターボの200t。トルクこそ3.5L車に近いが、高回転域のパンチがない。価格は安めの設定だが、エコカー減税などを含めると、免税対象のハイブリッドの300hとそれほど支払価格では差がなくなってくる。燃費値も平均値。ハイオクガソリンを使うため、レギュラー仕様で燃費に優れるハイブリッド車との燃料費は大幅に変わってくる。こうなるとt、少々中途半端な印象。言い換えればバランスが良いともいえるのだが、あえて選ぶ理由もない。強いて言うのであれば、ハイブリッド車特有のCVTフィーリングが嫌いという人向けだろう。そうなると、お勧めは、やはりハイブリッドの300hになる。日本マーケットでは、ハイブリッド車が好まれ、リセールバリューも期待できる。

パワーユニットが決まれば、グレード選びだ。どのパワーユニットを選択したとしても、お勧めは、最もスポーティなF SPORTだ。スポーティな専用の内外装、専用サスペンションなどが装備されていて、最もISらしいといえるグレード。こうしたスポーティグレードは、日本マーケットで非常に人気が高く、リセールバリューも十分に期待できるからだ。

リセールバリューやスポーティな内外装に興味がないというのであれば、エントリグレードでも十分な装備が用意されている。ただ、それでは高級車らしさを追求するのであれば、version Lという選択も悪くない。とにかく豪華さを重視する人に向く。セミアニリン本革シートが標準装備化されており、ラグジュアリー感あふれる内装となっている。

‖レクサスISの価格


・IS350 5,599,000円/“version L” 6,207,000円/“F SPORT” 6,303,000円
・IS300h 2WD 5,150,000円 AWD 5,554,000円
・IS300h “version L” 2WD 5,788,000円 AWD 6,192,000円
・IS300h“F SPORT” 2WD 5,680,000円 AWD 6,385,000円
・IS200t 4,700,000円/“version L” 2WD 5,308,000円/“F SPORT” 5,204,000円